映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の舞台になった町で、私は生まれ育ちました。
四十を超えた今でも、あの映画を見ると涙か止まりません。
子どもの頃に慣れ親しんだ周囲の自然は、大人になるまでには全部消えて無くなりました。
自然は人間にたいして完敗。
しかし、高知では状況が逆転しています。
高知の自然は連戦連勝。
今日、仁淀川町の池川地区で江戸時代から明治の古い道を探しに行きました。
古い文化の薫る道を新しい観光資源にしようと越知町の皆さんと計画しています。
これがその古い道。
この細い道を昔、馬や牛、大砲までも通っていました。
そして、これが現代の道。
気のせいか、舗装されている以外は古い道とあまり変わらないような…。
この幅でも立派な国道です。
この地域は、田畑も道も集落も急速に森に飲み込まれつつあります。
「古いことを知っている人がいなくなる前に記録しとかにゃならん」今日案内してくれた池川の山中さんが静かだか焦りのこもった声で語ってくれました。
「早くせんとみんな死んでしまう」
観光より記録の方が大事な気がしています。
人間の世界が自然へと還っていく最前線に住んでいる今、
次に平成狸合戦を観ても涙することはもうないと思う。
結局はみな森へと還っていくのだろうか。
しかしこの素晴らしい彫刻が自然に還るのは悲しい。
山奥の神社になぜか人魚の彫刻。不思議。