屋形船仁淀川に来てくださった団体観光のお客さんに「屋形船の次はどこへ行かれるのですか?」と聞いたことがあります。そのお客さんは「次は四万十川で昼ご飯だ」と微笑みながら答えてくれました。
ご存じない方のためにお知らせすると、
四万十川と私たちの仁淀川は全くの別物で、仁淀川から四万十川までは車で2時間以上かかります。
ちなみに、そのお客さんの言わんとしたことは「次は仁淀川の上流中津渓谷で昼ご飯だ」です。
団体観光のお客さんは総じて訪問先の土地や活動に興味がありません。仁淀川を四万十川と思って観光しておられる方や「淀仁(よどに)川はなんで有名なの?」とおっしゃる方などけっして珍しくはありません。
それは当然です。団体のお客さんの目的はお友達や職場の同僚と親睦を深めることで、楽しければ場所はどこでもかまわないからです。
今日は越知町で、横倉山のガイド研修に参加しました。お客さんを楽しませる方法を学ぶためです。
横倉山は、源平合戦で敗れた平家一門が安徳天皇と移り住んだ土地。平家の隠れ里であり安徳天皇が亡くなられた場所です。
これほど神秘的でミステリアスで魅力的な歴史をもつ場所がほかにあるでしょうか?中央から遠く遠く離れた山奥に突然現れる宮内庁管理の地にたたずむと、この土地の持つ歴史の複雑さとはかなさに押し流されそうになります。横倉山は全身で歴史を体感できる貴重な場所です。
横倉山に来るたびにこの唯一無二の魅力をもっとたくさんの人に知ってほしいと痛切に感じます。
仁淀川流域の様々な研修に参加して思うのは、観光地としてのこの地域の魅力は、歴史と伝統に裏打ちされた伊勢神宮や高野山のような深い「癒し」です。
団体さんが来てくれるのは大変うれしいのですが、熱海や鬼怒川のような楽しみを期待して来られるお客さんがいたら期待外れになってしまうかもしれません。
上の写真は決して期待を裏切らない越知町、居食家かどたの「からあげ弁当」。