石土の森から眺める土佐市高岡(写真上)。
日高村にはいわゆる四国八十八か所お遍路さんの道はありません。
しかし古い巡礼の道はあります。第35番札所清滝寺へ向かう山越えの道です。
昭和30年代まで日下(現在の日高村)や佐川、須崎から清滝寺に向かう巡礼者はみなこの山道を使いました。国鉄日下駅や岡花駅を降りて往復6時間山越えの道です。
かつてはたくさんの人でにぎわったこの道も、今はほとんど歩く人もおらず、いのししだけが道の主人公になっています。比率でいえば99.9%いのしし、人0.1%くらいでしょうか。
いのししがミミズや木の根っこを探すために道は掘り起こされふわふわしています。いのししが山から駆け下りた跡や、土に鼻をこすりつけてミミズを探しながら歩いた跡、ダニを取るために木に体をこすりつけた跡などなど、道はいのししの痕跡だらけです。
ヌタ場といっていのししが泥浴びをする水たまりもそこかしこにあります。100キロ超級からウリボウまで大小の足跡が残り、昨夜の泥浴びのにぎやかさがしのばれます。
昼間はシダの布団にもぐって寝ているいのしし達は、夜になるとかつての巡礼の道で大騒ぎをしているようです。見てみたいものです。
今日の道も日高村の仙人と歩きました。
仙人は「うちの犬が(いのしし避けの)電気柵に触ってキャン!言うから、どんなもんかと思うてワシも触ってみた。全身にズンときたよ。たいしたことないにゃ。あれじゃいのししはよう逃げん」。
仙人がいたせいかどうかわかりませんが、今日はいのししの姿を見ることはできませんでした。
(写真↓)昭和レトロな看板
(写真↓)いのししのヌタ場