高尾山へ行くと登山口に自然薯を出す料理店が軒を連ねています。
どの店もとてもおいしそうで、この料理店のどこかで自然薯そばを食べるのが私の長い間の夢でした。
麓の八王子で子供時代を過ごした私にとって高尾山は庭のようなもの。
ことあるごとに登っていたにもかかわらず、登山口の商店街で何かを食べたこともお土産を買ったことすら、50歳になる今日まで一度もありません。
いつも素通り。
あそこは観光客が行くところで地元の人間が行くところではない。
という親の代から綿々と受け継がれる思い込みのせいです。
高尾山はお弁当をもって山に登り帰って来るもので、我々地元民は登山口で買い物するものではない。
と頑なに思っていたので、これまで意地を張って登山口の商店街には寄らずにきました。
ふと子供の頃本当は寄ってみたかったことを思い出し、
今日思い切って夢を叶えてみました。
高尾山に登らずに登山口で食事だけして帰ってきたのは今日が生まれて初めて。
変な背徳感がありました。
夢を叶えてみて、昔からの思い込みが本当だったとわかりました。
登山口の店々はやはり観光客用です。
自然薯そばはとても美味しかったのですが、どうしても団体ツアーで出される料理感が漂います。
高尾山で自然薯が取れるのかは知りません。しかしとてもとても美味しかったので今度からは、高尾山の自然薯そばは観光客の皆さんに譲ることにしました。
私はまた昔通りお弁当を持って行くことにします。