多摩でも、高知県馬路村からはるばるやってきた「ごっくん馬路村」をはじめとするゆずの加工品をスーパーでよく見かけます。
そのため「馬路村ってどんなとこ?」と患者さんから時々聞かれるのですが、うまく答えられません。
東京と埼玉には馬路村のような本物の山奥はなく、相手にその山奥っぷりを想像してもらえないからです。
馬路村こそ本物の山奥。深い山のぽつんと一軒「村」とは馬路村のことです。
日本の昔話に出てくる村で例えると、馬路村はおじいさんとおばあさんが日向ぼっこをしていて子どもたちが遊んでいる里の村ではありません。
馬路村は、猟師や旅人が道に迷い、さんざん山の中をさ迷い歩いた末に偶然にたどり着く村です。
ところで先日この多摩地方でも馬路村への道とよく似た道を発見しました。
高尾山の1号登山路です。
とりあえず舗装された1~1,5車線の登山道。
高尾山の道は歩道、馬路村への道は車道の違いはありますが、そっくりです。
私は馬路村への山道を車で登りながら、あまりの山深さに「この先に村などあるはずはない」と半信半疑でいました。
そして森の先に突如として現れた近代的な「ごっくん馬路村」工場。
平家の隠れ里を見つけてしまったかのような驚きでした。
できたての「ごっくん馬路村」を積んだ巨大トラックは、反対にこの細い山道を下って全国へと旅立ちます。
「ごっくん馬路村」は私にとって昔話の「養老の滝」から汲んできた、貴重でありがたい飲み物です。