鍼灸と科学

有難いことにわたくしの鍼もたまには効くことがあって、

そんな時には感動した患者さんから

「鍼ってどういう仕組みで病気を治すの?」

と聞かれることがあります。

「知りません。」

本当に知らないので正直に答えると、たいていの人は

「不思議ですね。」

「ええ本当に不思議です。」

で終わってくれるのですが、

おじいさん、とくにいまだに科学が万能だと信じている能天気な老人の男性などは不思議っていうのが嫌いらしく、

「神経に作用するのかな?」「血管か?」

などとしつこく聞いてきます。

「アストラル体です。」

「なんだそれは!」

「なんであれ治ったんだからいいじゃないですか。」

面倒なので適当に答えると、

「そんなことを言っているから鍼灸はいつまでも世間に広まらないんだ。大学病院で医学的に研究してもらいなさい。」

とご提言をいただきます。

「私たちは大学病院や現代医学に失望したから鍼灸師をやっているんですよ。」

と説明すると呆れた顔をしています。

どうやらこのおじいさん、自分だって病院でどうにもならなくて鍼灸を受けにきたことをすっかりお忘れになっているのかもしれません。

科学が病気を治してくれると信じられる人は幸せです。

薬の副作用で命を落としても医学に満足できるのですから。

羨ましくはありませんが。




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