夕方、歩いて家に帰る途中、誰もいない住宅街で、
金属バットを担いだ老人とすれ違いました。
穏やかに考えれば、どこかへ素振りをしに行くか、またはその帰りの老人だと思いたい。
しかし時節柄かどうもそう穏やかに考えることができません。
その老人は、埼玉で猟銃をぶっ放した犯人にどことなく似ていました。
それでも野球のユニホームでも着ていてくれれば、胸騒ぎを覚えずに済んだものを、
老人の姿にはおよそ野球感というものが微塵もなく、ただぶっきらぼうに金属バットを肩に担いでいるだけ。
時々それを振り回したりしながら歩いていました。
家に帰ってからも気になって仕方ありません。
というのも、あの金属バット爺さんの向かった先には外で飼われている柴犬がいるからです。
爺さん、まさかあのバットで犬を殴る気では。
心配になったのでさっき見に行ってきました。
犬は無事。何事もなく寝ていました。
まったく東京暮らしは気苦労が絶えません。