男にもわからない男の純情

渋谷の居酒屋

近頃よく大学時代の同期と再会します。

先日は六本木で私を入れて3人、昨日は渋谷でこれまた私を入れて4人。二つの会とも30年ぶりの再会です。

一人だけ派手にハゲてはいるものの、みんな五十を越してもほとんど変わりません。

しかしながらよくよく考えてみると、

昨日の会で30年ぶりの再会なのは大学時代に恋人同士だった二人だけで、私ともう一人はそれぞれと5年か10年に一度は時々会っていました。

どうりでそれほど変わらないわけです。

問題なのはこの元恋人の元カレの方。

この男がいい歳をしてどうしたわけかなかなか元カノと会おうとしませんでした。

照れくさいのか。恥ずかしいのか、はたまたもっと深い理由があるのか。

訳を聞いても言わないし、それどころか実のところ「会う」とも「会わない」とも言いません。

のらりくらりと会わない方向へと話を待っていってしまいます。

(その辺がタフネゴシエーター、熟練ビジネスマンの手腕だなと感心したりもしました。彼は商社マンです)。

ただ可哀想なのは彼女の方で、「あたし何か悪いことしたかな?そんな酷い別れ方をしたとは思わなかったけど」と30年も前のことを思い悩むはめに。

だいたいもうお互いに違う相手と結婚していて、それぞれ大きな子どももいるのにいったい彼は何を意識しているのか?

私にもさっぱりわかりません。

この男には妻もいて、子どもも3人います。

モジモジする歳でもあるまいに。

おまけにこの男は仲間内でも出世頭で、部下も何十人もいて、飲み会の前の日も帝国ホテルで会合があり誰もが知っている会社の社長たちと談笑するくらいの大物です。

それが30年前の恋人にまだドキドキしているのか?

バカバカしい。

ところが、昨日ついにこの男が元彼女と会う決断をしました。

それでも言葉に出して「会う」とは言いません。

グループLINEに「今回の会は部下に4人で予約させた」などと書いてきたので、

「いつもより1人多いけどどした?俺たち3人以外に誰を誘うつもりだ?」

と私が問い詰めても返事がありません。

面白いので、試しにこの男が学生時代にものすごく仲の悪かった人物の名前を挙げ、誘ってみると書いてみましたが、やっぱり返事がありません。

そこで最後に「○○(元カノの名前)に声かけてもいいのか?」と書くと、

即座に既読が付き、3秒もしないうちに親指を立てた笑顔のクマのスタンプを投稿してきやがりました。

さて、

30年ぶりに再会した恋人たちは仲良く昔話に話を咲かせたかと言いますと、

元カノの方は楽しくいろいろ話してくれましたが、

やっぱり男の方がダメで、直接彼女には話さず、私かもう一人の友人を介して、ぶっきらぼうな会話をするばかり。

たぶんこの男が彼女と目を合わせたのもその夜3回もなかったと思います。

帰り、渋谷駅へ4人で歩く道すがら

先を歩く元カレの背中を見て彼女が私に聞きました。

「○○君(元カレの名前)って昔なんて呼ばれてたっけ?」

「ガラスのハート」

女性がどんなに歳をとろうとも死ぬまで女性でありつづけるように、

たぶん男はいつまでたってもクソガキなのだと思います。

「次は○○(元カノの名前)が幹事ね。よろしく」と私に向かって楽しそうに言い残し、元カレは軽い足取りでスクランブル交差点の雑踏に消えていきました。

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