
鍼仕事で熊谷に通い始めて3年。
ついにようやく昨日、タイミングが合い、有名な熊谷うどんを食べることができました。
熊谷がうどんで有名だと知ったのは高知に住んでいた頃のこと。
それ以外、東京に住んで熊谷に月一で通っているいる今も、昔埼玉に住んでいた頃も、熊谷がうどんで有名だとはまだ一度も聞いたことがありません。
そんな密かに有名な熊谷うどんを遠く離れた高知で教えてくれたのは、県庁の人が日高村に連れてきた東京のコンサルタントで、
このコンサルさんの話を聞くと、
何もない熊谷をうどんで盛り上げ、さらには全国区まで有名にしたのは、この方一人の功績だそうです。
私は高知に住む以前は埼玉に10年以上暮らし、おまけにうどんが好きで、埼玉でもずいぶん食べ歩きもしましたが、熊谷がうどんで有名だとはその時までまったく知りませんでした。
怪しい。どうもうさんくさい。
私の直感は、このコンサルはインチキじゃないかと警鐘を鳴らしましたが、周囲の人には何も言わず黙っていました。
世の中には私の知らないことなんてたくさんあるわけですし、
何より県庁の人や村役場の幹部の皆さんが、このコンサルの来高を心底ありがたがり、とても丁重にもてなしていたので、
ここで水を差すのも不粋な気がして気が引けたからです。
さて、
長い前置きはここまでにして
ついに巡り合った熊谷うどんはといえば、
この店はまずうどんが茹で上がるのを待つ間に客に自分で七味を作らせてくれます。
ここで奇跡が起こりました。
私の作った七味が偶然、とてつもなくおいしく出来上がってしまったのです!
おいしいを通り越して感動すら覚えると言ってもいいかもしれません。こんなにおいしい七味は生涯で一度も食べたことがない出来栄えでした。
ただ残念なことに、
何も考えずテキトーに調合したため、もう二度とこの七味の味は再現ができません。
これぞ一期一会。
生まれてすぐに消えてしまった、生涯でたった一度しか出会えない奇跡の七味。
話を肝心のうどんに戻します。
うどん好きなのでついつい長くなり申し訳ありません。
私が大宮や川越あたりで食べていた埼玉のうどんというのは、太くて長くて硬いのが特徴で、
例えるならスイトンのトンの部分、つまり小麦粉を練った硬い餅を無理矢理伸ばして麺にしたのものが、埼玉のうどんです。
そんな埼玉うどんが、昔はきっと熊がたくさん住んでいたであろうワイルドな熊谷ともなれば、もっと武骨でゴリゴリな、噛みちぎるようなうどんが出てくるのかと思いきや、
出てきたのは至って上品なうどんで、細くやわらかい稲庭うどんのような麺でした。
ただ汁は、これぞ埼玉という豚のバラ肉がゴロゴロ入ったおいしい汁で、
これだけはうどんの本場香川でもどこを探して見つからない、埼玉でなければ食べられない時々無性に恋しくなる汁です。
この汁に世界最高にして唯一無二の貴重な七味をかけて食べた熊谷うどんは生涯忘れられない味でした。
店内には、
2017年に開催されたという全国うどんサミットで熊谷うどんがグランプリを獲得した賞状が飾ってありました。
あの香川を抑えて熊谷がグランプリ?
なるほど。
高知で感じた私の直感は正しかったようです。