校長先生の思い出

「田舎の人は皮膚が厚いので、鍼も長くて太いものを使う必要があります。」

今から20年ほど前、私が卒業した鍼灸学校の女校長が教えてくれました。

これはたいへんな偏見で、実際現場に出て何千人と施術をしても都会の人と田舎の人の皮膚の厚さに違いはありません。

もしも校長先生の言うことが本当なら、日高村はものすごい大都会になります。

私の知る限り日高村を都会と言う人はいません。それでも使う鍼は、太さも長さも都会で仕事をしているときと同じでした。

失礼を承知の上で、あえて皮膚について申し上げるなら、

校長先生の皮膚、特にお顔の皮膚は相当に厚かったと思います。

お顔の皮膚について、私は校長先生の知らないところで先生から多くのことを学ばせていただきました。

例えばヒアルロン注射。

ある朝突然、昨日まであった校長先生の額の皴が全部消えてしまい、風船のようにぱんぱんに張っていました。

「やったな。」「注射打ったな。」

クラスメイトの女性たちが小声でささやき合っています。(鍼灸学校のクラスには高校を出たばかりの少年少女から家庭の主婦、定年退職後のお年寄り、さらには私のようなアウトサイダーまで、老若男女さまざまな人がいました)。

「何をやったんだって?」と彼女たちに聞くと、

「ヒアルロン注射。」

眉をしかめ小さな声で教えてくれました。

さらに私は校長先生の知らないところでプラセンタのことも知りました。

ある朝、先生の額と両頬がモンゴル相撲の選手のように油ぎってテカテカしています。

「あれもヒアルロン酸?」

とクラスメイトに聞くと、

「プラセンタっぽいね。」

と教えてくれました。

校長先生のお顔を見て、ワックスをかけたラーメン屋の床を思い浮かべたのを懐かしく思い出します。

今にして思うと、あれは私にとって初めて知った美容でした。

 

このブログを校長先生が読んでいないことを祈りつつ、

先生、今もお元気でしょうか?

今日偶然、わが母校がすでに廃校となっているのを知りました。

 

表題写真は昨年撮影した日高村の月。




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