仙台では、おばがずんだ餅好きの私のために東京では絶対に食べられない美味しいずんだ餅を用意して待っていてくれました。
住宅街で親父さんが一人でやっている小さな団子屋で、電話で予約を受けた分しか作らない地元でも希少なずんだ餅です。
こんなにおいしいずんだ餅は、東京ではどんなにお金を積んでも絶対に手に入りません。
娘に孫が生まれた時、しばらく東京に住んでいたおばが言うのだから本当です。
私も高知で普通に食べていた美味しいものが東京ではまったく食べられないので、おばがご馳走してくれたずんだ餅が東京では絶対に手に入らないのがよくわかります。
東京には美味しい食べ物がありません。
それでもおばは東京でまた暮らしたいと言います。
なんで?と聞くと「わからない」そうです。
とにかく東京で暮らした一、二年がとても楽しかったと言っていました。
一方、
おばの息子、つまり私からみるといとこは、東京は不便でどうしようもないと言って仙台に戻ってきました。
東京で暮らしているとゴルフへ行くのも2時間、サーフィンへ行くのも3時間、車で移動しなければいけません。これじゃあ寝る時間がない。
冗談じゃねえやと仙台に戻ってきて、今、彼は駅前のタワーマンションで優雅に暮らし、自分で事業を起こしながらサーフィンとゴルフ三昧の日々を送っています。
これが地方で暮らす醍醐味だと、高知で暮らした私にもよくわかります。
まったく東京は不便だし食べ物もまずい。もっと言えば空気も水も汚いし、人間だって意地悪。なのでこんなところに住む理由が私にはさっぱりわかりません。
ところが、東京暮らしは楽しい。
なんだかわからないけど楽しいから私も困っています。