最高の鎌をいただく

「あげたいものがあるから、近所に来たら寄ってくれませんか。」

いつも静かな物腰で話す村の鍛冶屋さんから声をかけてもらいました。

「知り合いから鎌をもらったので、差し上げますよ。」

ずっと以前、鍬(クワ)専門の鍛冶屋さんに向かって「いい鎌(カマ)はありませんか?」とマヌケなリクエストをしたのを覚えてくれていたのです。

見ると素晴らしい鎌でした(写真)。

草にそっと刃を当てるだけですっと切れます。

本物の鍛冶屋さんが鍛えて研いだ本物の鋼の鎌。

歩道のない国道33号線を裸の鎌を片手に、スキップしたい気分で歩いて帰りました。駐在さんに通報されなかったのが奇跡です。

鎌は単なる農具ではありません。

山に入るときには、鎌で草を刈りながら道を整備して歩きますし、イノシシやマムシが出てきたときにはこれで戦います。

仙人も、古老も、山伏の住職さんもみんな山に入るときは片手に鎌。

いや住職さんだけはもっとごついサバイバルナイフみたいなのを持っていました。

それはともかく、

黒澤明監督などの古い時代劇を観ると、よく鎌や鍬で武装した農民が出てきて、スマートでかっこいい武士とは対照的に扱われています。

例によって都会人の黒澤監督は鎌や鍬のかっこよさを知らなかったのでしょう。

日本刀はもちろん芸術品ですが、鎌や鍬には実用の美があります。

毎日使っても切れ味そのままでしかも丈夫。

「刃が多少かけても切れ味は変わらんき。」

鍛冶屋さんもそう保証してくれました。

もし今、黒澤監督から「武士役と農民役どっちがいい?」と聞かれたら、

躊躇なく農民役を選びます。

梅雨も今日で終わり草刈りシーズン真っ盛り。

強力な武器が手に入りました。




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