50代独身、いつもニコニコしていて誰に対しても親切な私の尊敬する友人が、
ついに飲酒を再開しました。
「えへへ、もうしばらく酒は飲みません」
と反省していたのが今から約1ヶ月前。
「何かあったんですか?」
と聞いても、
「へへ。また飲み過ぎまして記憶をなくしました」
よっぽど反省しているのか、恥ずかしそうにほほ笑み、それ以上のことは決して話くれませんでしたが、
それから1ヶ月が経ち、すっかり最初の反省も忘れ、再び毎晩飲み歩くようになると、あの夜何があったのか少しづつ教えてくれるようになりました。
見せてくれたのは一枚の写真。
スマホに写っていたのは相撲取りが優勝した時に必ず出てくる巨大な赤い盃を、笑顔で抱きしめるつるっぱげの中年男。これが友人本人です。
「この後、記憶をなくしました。へへ。」
「中に入っているのは日本酒ですか?」
「いえいえいえ、そんなんじゃありません。ただのハイボールです。」
「ハイボールを2リットル一気飲みしたんすか?」
「ええ。えへへ、やり過ぎました。」
「誰も止めなかったんですか?」
「誰も止めませんよお(大爆笑)。」
「なんで?」
「一人で飲んでましたからね。へへ。」
居酒屋で巨大盃を一人飲みする中年男。
注文する方もアホですが、それを出す店もどうかしています。
友人は翌日自宅のベットで目が覚めて記憶を取り戻しました。
パジャマにもちゃんと着替えていて、どうやらシャワーも浴びています。
「ああ、よかった、無事に帰ってきたんだ。えへへ。」
と安心したのも束の間、
財布を開けてみると、まったく記憶にないMRIの領収書が1枚。
盃を飲み干し意識をなくした後、朝自宅で目覚めるまでの間に、
友人は意識のないままにどこかの知らない病院でMRIの緊急検査を受けていました。
その異常な事態に極めて深く反省した友人は、
実につい最近までの1ヶ月ほど、すっかり酒を止めていたのであります。
さて、
私も今日あたりになってようやく長い夏バテから回復しつつあります。