星とホタルの非常識

東京の多摩市に住んでいるとホタルの光は一生見られません。

それが常識です。

流れ星もまたよっぽど運がよくなければ見られません。

なんとか座流星群の夜だって基本的にダメです。

ひとつでも見られたらそれこそ奇跡。どんな願い事だって叶います。

多摩市ではそれが常識。

ところが、これらの常識が高知県日高村ではまったく通用しません。

日高村では夏になると、ホタルは家の周囲を歩けばそこかしこに飛んでいて、沢へ行くとよみうりランドのクリスマスイルミネーションなんて地味に思えるくらいたくさんのホタルが木々の間にきらめいていました。

夜、寝ていると暗い部屋の中を小さな光がひとつ、ふわふわと浮いています。

何だ!と思ったら迷い込んできたはぐれホタルだったこともありました。

流れ星も日高村ではまったく非常識。

なんとか座流星群を待つまでもなく、流れ星は5分も空を見上げていたら少なくとも一つは落ちてきます。

詳しい人に聞くと、流れ星は毎晩普通に落ちてきているそうです。

何か願い事ができると、夜庭に出て行って空を見上げ、流れ星が落ちてくるのを待ったのを懐かしく思い出します。

10回でも20回でも願い事を唱えることができました。もちろん叶う叶わないは別です。

流星群の夜ともなれば、空から星がなくなってしまうじゃないかと心配になるほど、流れ星が雨のように降り注ぎました。

 

ホタルもいない、流れ星もないのが常識の、東京は多摩の静かな夜にこうして久しぶりに戻って暮らしていると、日高村の夏がとても遠くに感じられます。




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