多摩で鍼治療をしながら患者さんに「ここに来る前は高知で地域おこしの仕事をしていました」などとうっかり伝えてしまうと、
もしもその患者さんが引退した高齢の男性なら間違いなく、
「手伝ってやるよ。なんでも聞いてくれ。アドバイスしてやる。」
と目を輝かせて言ってくれます。東京の定年退職した爺さんはどうしたわけか、みんな例外なく地方の地域おこしが大好物。
高度成長時代の古い知識が地方の活性化にも役立つと思っておられるようです。
ただいかんせんみんな地方に関する知識がない。驚くほど何も知りません。
あの日高村オムライス街道だって誰一人として知っている人がいません。
多摩の人は誰も知りませんが、
日高村オムライス街道は、日本全国に星の数ほどもある地域活性化の取り組みの中で数少ない成功事例の一つです。
私が情報発信担当として働いた在任期間中でも、
オムライス街道参加11店舗には、休日はもちろんのこと平日でさえランチ時には、県内外からやってくるお客さんで行列ができていたものです。
村の直売所「村の駅ひだか」も売上は右肩上がり。
それが評判を呼び、テレビの全国放送、それもゴールデンの時間帯に何度か紹介されたこともありました。
農林水産省からは優れた取り組みとして表彰され、総理大臣の施政方針演説ではオムライス街道の関係者が名指しで言及されたこともあります。
村には毎日のように日本中の自治体や学校から視察の団体が来ていました。
(日高村オムライス街道について詳しくはホームページをご覧ください。)
華やかな毎日。
日高村は、多摩の爺さんたちが想像するしょぼくれた貧乏くさい村とは正反対です。
それにしても多摩の人があまりにもオムライス街道を知らないのが信じられません。
日高村での日々は夢だったのか。
日本は意外と広く、自分たちの住んでいる地域以外のことはわからないのが普通なのかもしれません。
よく考えたら、私も日高村の隣、佐川町やいの町でさえ何をやっているのかよく知りませんでした。
そっちなら高度成長時代のアドバイスを受け入れる余地が、もしかしたらあるかもしれません。