恐怖は人を強くする

いつか近い将来必ず、高知は南海トラフ大地震に襲われ、海岸線には巨大な津波がやってくると言われています。

今日、おそらく高知で一番津波を怖れている人間と、浦戸湾の海岸線にある県の施設へ行く用事がありました。

彼は日高村を出てからずっと「もし今地震が来たら僕らは津波から逃れられない」「今日行くところは津波がきたら一発で終わりやき」と言い続けています。本気で言っているのか冗談なのかよくわかりませんが、めんどくさいのでテキトーに聞き流していました。

東日本大震災の時にはずいぶんたくさんのビビりの人間と会ったものです。がんで入院中の奥さんを残して西へ逃げた若い夫。家族や婚約者を置いて海外へ飛んだエリートサラリーマン。

西日本へ移住すると言うと、そんなビビりの一人と思われるのが嫌でした。でも高知は南海トラフ地震のおかげで腰抜けと思われずに済みます。

今日の相棒が本物のビビり症だというのは現場に到着してわかりました。

彼はとても疲れやすい人でもあり、毎朝職場へ着くと「おはよう」の代わりに「疲れた。しんどい」が第一声です。

その彼が県の施設につくと、目的の4階まで階段を駆け上がりました。1階にエレベーターが止まっている前を素通りしてです。最初なぜかわかりませんでしたが、まさかと思って聞いてみました。

「そんなに津波が怖いんすか?」

「あたりまえじゃないっすか!エレベーターに閉じ込められて津波で死にたくないっす」

恐怖は人を4階まで駆け上がらせる。健全な動機とは言えませんが、彼が健康的な運動をしている姿を初めて見ました。しかも上ったあとに「あ~しんど」と言わないのも初めて。

恐怖や不安にも良い面があるのかもしれない。あるいはこんなふうに見えて彼は実はすごく強い人なのかも。

その帰り、近くにある県の小動物管理センターを見に行くことに。

もっとゆっくり見たい私の希望はあっさり却下され、早く帰りたい彼の運転はあっという間に前を通り過ぎ帰路へ着きました。

「津波がきたら犬も猫も全滅やき」

とにもかくにも今日は地震に合わず無事に日高村まで帰ってきました。

今、海外沿いの役場を津波被害のない高台へ移転する計画が多数出ていますが、小動物管理センターを高台へ移転する話はなさそうです。




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