広島に懐かしい人を訪ねる

親戚のおばさんと会いに広島へ来ています。

おばさんは今年で96才。厳密に言えば父のおばなので私からみると大おばさんです。

生涯独身で子どものいないおばさんは、私がまだ小さな子どもの頃からとても親切にしてくれました。

とはいえ、私は東京に、おばさんは広島に住んでいたので、そんなにたくさん会ったことはありません。私の生涯で10回も会っていないと思います。

やさしいおばさん。というエピソードのない印象だけが私の思い出です。

前回会ったのは15年くらい前。腰の骨を折って入院しているおばさんを病院へお見舞いに行きました。

病院で会ったおばさんは当時でも80数才。とても弱々しく見えました。

今、私は高知に住み、広島はすぐ近くになりました。

車で四時間ほどです。

百歳近くなったおばさんは、

15年前より元気になっていました。

歩行器を使いながらもおばさんは顔色もよく元気でいっぱいです。

もう歳なので、薬もコルセットも全部やめたそうです。するとなぜかよりいっそう元気に。

「四国にはまだ行ったことがないけ。一度行ってみてもえいのお」

おばさんは被爆者です。戦後もずっと広島で生きてきました。

原爆を生き抜いた人の強さには頭が下がります。

「潮を吹く魚はもう見た?」

と、うれしそうに私の顔をのぞくおばさん。お互いに自然と笑みがこぼれます。

「僕もまだクジラは見てないです。今度一緒に見に行きましょう」

不思議なことに、時間は一瞬で40年以上前にさかのぼり、そこには小さな子どもの私とやさしいおばさんの笑顔がありました。

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