家の桜の木に一輪、花が咲いていました(写真)。
秋風が吹き始めてから咲くとは、春と勘違いしたのでしょうか。
だいたいこの桜は季節を問わず時々一輪、二輪と花を咲かせる癖があります。
冬の真っ最中でも何かの拍子に春が来たと勘違いするおっちょこちょいタイプです。
そのくせ春はあまり咲きません。
他の桜が派手に咲き誇っている時期には毎年ポツポツ程度の咲き方で、「まだ3分咲きだな」なんて言いながら楽しみに満開を待っていたら、5分咲にもならずに春が終わりました。
この桜がどうして庭のこのあまり日の当たらない場所に生えているのか、その理由は不明です。
家族でただ一人知っているはずの母がすでに亡くなっているのでもうこの桜の由来は永遠にわかりません。
そこは、どう考えても桜を植えるのに適した場所ではないと思えますし、またこの桜、斜めに生えています。斜めの幹の下には硬く食い込んだレンガが一つ。
この状況から推理するに、
おそらく母は、どこかで手に入れた桜の苗をとりあえずそこへ置き、どこへ植えようか考えているうちに病気となり寿命を迎えたと思われます。
まったく人はいつ死ぬかわかりません。母もまさかその時に自分が死ぬとは思っていなかったはずです。
帰ってきたら桜を植えようと思っていたら、結局帰って来れませんでした。と、推理しています。
それはともかく、
以来約20年、ほったらかしにされた桜の苗は風雨のため斜めになりながらもビニールの鉢を突き破りそこに根を生やしたのでしょう。
そして今は亡き主人の後を追うように枯れかけています。
ただ根元付近には新芽がどんどん出ているので、桜の命は次世代へと引き継がれてくれるはずです。
狂い咲き遺伝子も一緒に受け継がれていくと思われます。