哀しきカレーチェーン

夕方5時、夜勤の前の腹ごしらえに駅の改札すぐ脇にあるカレーチェーンへ。

店に入って驚きました。

客が私一人だけしかいません。

いるのは暗い表情の若い女性店員だけ。

店の外は夕方のラッシュアワー。ものすごい数の人が大きな足音を立てて行ったり来たりしているのに、店の中は完全な無音。

異次元空間に迷い込んだのかと思いました。あるいは宇宙船に誘拐されたか。

巨大都市東京のベットタウン、多摩市で最も人通りの多い場所のど真ん中に店を開き、最も人通りの多い時間帯、誰もがお腹の空いている夕食時に、

一人も客のいないカレー店なんてあるでしょうか。

これは一種の奇跡です。

釣り堀で1匹も釣れない奇跡。

多摩市民が外食をしなくなったわけではありません。隣を覗くと吉野家は混雑していましたし、おにぎり屋には行列ができていました。

サラリーマン一年生の私としては怖くて震え上がります。

もしも私がこの巨大カレーチェーンの社員だったら、給料は出るのだろうか?ボーナスは?会社の存続は?

不安は募るばかり。

味が悪いわけではありません。むしろおいしいカレーだと思います。

ただ最近のカレー屋はこういったチェーン店よりも個人経営の店の方が圧倒的においしい。

個人経営の料理人はカレー工場では絶対に出せない複雑な香りと味を作りますから。

そうなるとうれしくなります。

わたしもいちおう個人経営の鍼灸師としてがんばっているので、良い仕事をしていれば個人でも大企業に勝てるというは事実は自信につながります。

不安になったりうれしくなったり。

大勢で協力しながら作るカレーVS個人が一人の創意工夫で作るカレー。

チームプレーVS個人プレー。

人は本当に一人では生きていけないのか?

カレーのスパイスよりもはるかに複雑な感情を抱えながら、一人おいしく夕食をいただきました。

食べ終わり店の外へ出ると入れ替わりに次の客が入店。

客は一度に一人だけ。そういうシステムの店なのかも?




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