スーパーの魚売り場で「ホッケがない」と烈火のごとく怒り狂っているおじいさんがいました。
責任者らしい男性の店員さんが「ホッケはまだ季節ではありません。あと1か月ほどしたら入荷するはずです」と丁寧に何度も説明しているのに、おじいさんは納得しません。
えらく威張った調子で「お前の店はなっとらん。こんな店二度と来るか。」と怒鳴っています。
魚も野菜と同じで旬があって、旬の魚であっても漁で取れる日も取れない日もあるのに。
不条理な怒りをぶつけられている店員さんに同情しました。
東京に長く住んでいるとこのおじいさんのように魚も工業製品と同じで、注文すればいつでも仕入れられるものだと思ってしまうのかもしれません。
旬も地球が作った自然ではなく、スーパーが作った販売戦略だと。土用の丑の日のような。
東京のスーパーに季節はあまりありません。
秋鮭やサンマ、梨、ぶどうなど確かに季節のものは並んでいます。が、どうも産地で見る勢いがありません。
高知で季節のものはとてもおいしいそうで輝いていたものです。
本当においしいものは収穫量も少なくその全部が地方で消費されます。
東京、特にこの多摩地方で手に入るのは大量生産可能なものばかり。
そんな条件の中で、少しでもおいしいものを届けようとがんばって季節を運んでくれているスーパーのバイヤーさんをとても尊敬します。
あのじいさんは、季節のない東京で退屈な毎日を生きてきたのでしょう。おそらく、今渋谷で仮装して騒いでいる若者たちの未来の姿です。心の中はストレスだらけ。