コーチの黒いカバン

ずっと以前に患者さんから往診用にとコーチのバッグをいただきました。

いわゆるドクターバッグというやつで、ビジネスバッグを一回り大きくした、底の広いバッグです。

漆黒の本革。実に立派なバッグです。

ただ鍼灸師は医者と違い道具はあまり使いません。

鍼一本あればなんでもできますし、なんなら鍼なんかなくても手さえあればなんとかなります。

こんな有名ブランドの素晴らしいバックは私には過ぎたものと、押し入れの奥に大事にしまっておきました。

すると、今日久しぶりに見てみたらカビだらけ。

押し入れの中での長い年月を経て、黒いバックは白いカビがまだらに生えて、

パンダになっていました。

こいつは大変だ。と慌てふためいたところ東京に移り住んで3年で初めて東京の良いところを発見。

すぐ近くの南大沢アウトレットにコーチの直営店あります。

東京の便利さを初めて実感。

高知にコーチがあるのかはわかりません。

さっそく行って店員さんに相談するとさすがは高級ブランドです。

うやうやしく顧客として名前を登録されると、シュッとした店員さんの女性は私の名前を呼びながらクリーナーとモイスチャライザーを紹介してくれ、おまけにその使い方まで懇切丁寧に教えてくれました。

今後コーチのバッグを買うことはないかもしれません。それでもまた行ってみたくなるほど気持ちの良いひとときでした。

午後半日かけてパンダになったバッグを磨き上げ、コーチのバッグは見事に復活。

今、蛍光灯の灯りの下で美しく光り輝いております。

漆黒の深い輝き。真っ黒なのに輝いている不思議。

いつまでも眺めていられるほど美しい。

それに自分で磨くと愛情が沸々と湧いてきて、これからはこのバッグで往診をしようと決めました。

このバッグを肩から下げて街を歩くと思うと、それだけでなぜかテンションが上がります。

それが高級ブランド、コーチのパワーでしょうか。

中に入れた鍼も、効き目が5倍増しくらいになると思えてきます。




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