カラスの王

多摩市にある旧「犬フン通り」。

これは正式名称ではなく、あまりにも犬の落とし物が多いので私が勝手に名付けました。

ここは今「カラス通り」と名前を変えています(これも私が勝手に)。

正体不明の街路樹に生ったオレンジ色の木の実がカラスの大好物らしく、

多摩中から集まってきたカラスの集団によって食い荒らされた実と枝と葉で通りは今荒廃しきっています。

毎朝ここを歩いて職場まで行くと、たくさんのカラス達の厳しい視線を浴びなければいけません。

私が歩いて行くと、いちおうカラス達は道を開けてくれるのですが、食事を邪魔された彼らはとても不満げです。

その道で今日、カラスの王と会いました。

それはものすごい迫力と威厳を備えたカラスで、他のカラスよりも二回りほど体が大きく、歩道の真ん中に堂々と佇んでいます。

私が進んで行っても、飛んだり、傍へ退いたりする気配はまったくありません。

偉大な銅像のように立ち尽くしこちらを見ているだけ。

近づくにつれ、その威容がますますよく見えてきました。

漆黒の羽毛に覆われた全身は艶々と輝き、目は静かに落ち着き払いこちらを見ています。胴回りの太さはトンビほどもありました。

近づけば近づくほど「こいつはこの辺りのカラス全体を支配している王様に違いない」との思いが強くなり、圧倒的な迫力にこっちが道を譲るのが正しいのではないかとさえ思えてきました。

しかし私は人間。いちおう万物の霊長なのでカラスに道を譲るわけにはいきません。

私が近づくと、王は飛び立つでもなく、私を見たままゆったりと歩いて左側へ移動しました。そこで私も王に敬意を表し、右へ異動。

そのままお互いに見つめ合い、上手にぶつかり合いを回避しながら無事すれ違うことができました。

振り返って見ると、王はまだこちらを見ています。

その姿はまさに威風堂々。

王、いやあれは神だったかもしれません。

写真は旧犬フン街道とはまったくなんの関係もない、多摩市自慢の遊歩道「よこやまの道」です。




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