一匹のスズメバチが、実家の桜の木で慌ただしく働いていました。
「なんだろう?こんなところに巣を作られたら大ごとだ」
と警戒しながら見ていると、ハチは小さな黒い粒を一つ抱えて飛び去りました。
「てんとう虫が餌食になったな」と思いふと桜の木を見ると、枝にびっしりと黒いてんとう虫がくっついています。
「てんとう虫の大発生だ!」と驚いて、よくよく枝を見てみると黒い粒はてんとう虫ではありません。
それはてんとう虫より一回りほど小さい黒い粒で、数えきれないほどびっしり枝にくっついていました。
「何かの卵だろうか?これが孵化すると大量の毛虫が出るかもしれない」と恐れつつネットで調べると、タマカタカイガラムシだそうです。
この虫の名は初耳でしたが木を枯らす害虫とのこと。
今年の春は平和だと思っていたのに、
人生と同じく、事件のない春はないということかもしれません。
農薬ではなく手を使い、半日かけて駆除しました。
小さな虫とはいえ殺生は殺生。気分は最悪です。
罪の意識を少しでも減らすために、全滅はさせませんでした。
生き残ったカイガラムシの処遇は蟻かスズメバチにお任せします。