おばけの前触れ

ここ数日、不思議な現象が続いています。

夕暮れ時、急激に湿度が上がるのです。

日中、20%代だった湿度が、陽が傾き赤くなり始めるとともに、みるみるうちに60となり、70、80を超え、

やがてあたりは異様な蒸し暑さに包まれます。

雲を探して見上げても、空はいつものように快晴。

雨の降る気配などまったくありません。それどころかここのところ雨など一滴も降っていません

どこをどう見回しても湿度の上がる理由など、あの一つを除いてはまったく見当たらないのです。

幽霊。

時は夕暮れ、英語で言うとトワイライトゾーン。

この昼でもなく夜でもない曖昧な時間帯に、彼の国では死んだ者たちがこの世に降りてきて活発に活動すると言います

海外へ行くまでもなく、私の周囲でも、沈みゆく夕陽を眺めると、中から亡くなった人がこっちを覗いていると、まことしやかにささやかれています。

私は最近のこの夕暮れ時の異常な湿度の上昇を、幽霊が近くに現れている証拠だとみています。

実のところ私にとってこれはとてもうれしい知らせで、

私くらいの年齢となると、もうこの世よりもあの世の方に会いたい人が大勢います。

あの人かな?この人かな?

幽霊が自分の周りにいると思うだけで気持ちが高揚します。

ただいかんせん残念ながら私には霊感がありません。

おかげでわかるのはバカみたいな蒸し暑さだけ。

私にとってはいつまで経ってもおばけのいないつまらない夏です。

ところで、

地元の古い地主に聞くと、

この辺りにはその昔、死んだ飼い牛たちを祀った祠があったのに、ニュータウンの開発で無惨にもぶっ潰されてしまったそうです。

「出るとしたら牛の幽霊だな」

牛。

別の意味で会ってみたい気もします。

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