「血が足りない」とメールをもらったので、立川へ献血に行ってきました。
待合室で順番を待っていると、先客のいる男子トイレへ入っていくおじさんがいます。
するとトイレの中から、
「うおおおー!なんだー!びっくりしたー!」
と献血ルームじゅうが震えるほどのおっさんの大絶叫が聞こえてきました。
声の主はトイレの先客。
彼はトイレのドアのカギを閉めずに用を足していたようで、そこへ見知らぬおじさんがドアを開けて入ってきてしまい、もっか取り込み中だった彼はパニックになってしまったようです。
まるで包丁で刺されたかのような激しい絶叫。常軌を逸した悲痛な叫び。
だいの大人が、しかもいい年をした中年の男がこれほど派手な叫び声をあげるのを私は初めて聞きました。
それもトイレをのぞかれた程度のことで。
予期せずに人が入っているトイレのドアを開けてしまった不幸なおじさんは、「すいません」と小さく謝るとすごすごと引き上げてきて、私の前を通り過ぎるときに
「あんな大声出すことねえじゃねえか」とぼそぼそとつぶやいていました。
トイレであれほど見事な大声を出したおっさんがいったいどんな顔をしているのか。
ぜひ見てみたいものだと私はトイレの前の椅子に座り待っていましたが、なかなか出てきません。
恥ずかしくて出てこれないのか。
献血ルームにいた人も皆、かたずをのんでトイレの入り口を凝視しています。
そうこうしているうちに採血の順番が回ってきて、私は採血室の中へ。
結局絶叫トイレおやじの顔を拝むことはできませんでした。
自分だったら驚いたときにどんな声を出すのか。
こればかりは実際に驚いてみないと分かりません。
私もまた中年のおやじですが、
驚いたときに女の子みたいな悲鳴をあげてしまわないか実は秘かに恐れています。
写真は今日うちの裏庭に来たヒヨドリ。「ヒ~ヨヒ~ヨ」と絶叫していました。